コンテンツのはじめに・・・ 十二国記シリーズは講談社より発刊されている作家/小野不由美氏による一連の作品群です。 *個人サイト『にゃおんの休日』に於ける当コンテンツは管理人個人が私見/私文を連ねている非公認のファンコンテンツです。 *<<警告>>以下は原作からは異なり、管理人の推測・想像で描かれた2次作場面です。
■■■ 十二国お題 手慣らし編 ■■■
− 「左将軍」 − てくてくと二人で歩く野は緑。風はそよそよ。白や黄色の蝶が踊る。 「良い天気だね」 「まったくですね」 「離宮は蓮が見事なのだがまだ花の時期ではないな」 「それは惜しかったですね」 他愛無い会話を交わしつつ野を歩む。 「騎獣で来ても良かったのだが」 「いえせっかくですから周辺を間近に見るのも良いかと思います」 「それは良かった」 てくてくてくてく。小高い丘に差し掛かる。 「かまいませんか?」 「かまわないよ」 「ではお言葉に甘えて」 ぽん。 「私が持って行こう」 「すみませんお手を煩わせてしまって」 「どうってことない」 てくてくてくてく。 離宮正門前。 今日の当番兵は新採の女性兵士が入っているようだ。 「浩瀚様伏せて下さい!」 「え」 シャキーン。 「待て待て待て」 「こんなところに熊が出るなんて!」 「熊!」 「じゃなくて」 「はぁっ」 抜き身の剣を振りかぶった兵士の右手を浩瀚が両手で捕まえて止める。 「彼は左将軍だから」 「左将軍!」 改めて振り返ると強面の猛獣が首を傾げ、水色の瞳がくるりんと笑っているように見えなくもない。 「障りがあるので人型にはならないが、彼が左将軍。桓たいだ」 「陽気が良いので久し振りに息抜きしていたんだ、すまないな」 浩瀚が投げ出した衣を拾って熊の姿のまま笑う。 「でも冢宰なんですから、得物で向かって来る兵士を身体で止めるのは百官の長としてどうかと思いますよ」 ---- もうちょっとこう、つっこみ不足が否めないですね。雰囲気を味わうということで、ひとつよろしくです。