コンテンツのはじめに・・・ 十二国記シリーズは講談社より発刊されている作家/小野不由美氏による一連の作品群です。 *個人サイト『にゃおんの休日』に於ける当コンテンツは管理人個人が私見/私文を連ねている非公認のファンコンテンツです。 *<<警告>>以下は原作からは異なり、管理人の推測・想像で描かれた2次作場面です。
■■■ 十二国お題 手慣らし編 ■■■
− 「主上」 − 昼過ぎ。 近隣の水田から農夫達が木蔭に集まり、いつものように昼ご飯になった。彼もまた根元に置いてあった巾着袋から包みを取り出して広げる。白い握り飯。共同の簡易かまどでは湯気が上がってちょっとした汁物と茶を分け合う事が出来る。 「そなたに頼みたい事がある」 顔を上げると王が机案を回り込んでこちらへ歩いて来た。初めて登殿し遠くから拝見した時そのままの姿で。今日の自分も登殿したその時と変わらぬ姿だが、明日からは少しずつ齢を進めるだろう。 「雲海の上に長く居ると時の流れから心が剥離する」 「概ねその傾向に在ります」 「官を辞し仙籍から離れる以上、そなたを朝廷に拘束する事は出来ない。今から話す頼み事は、気が進まなければ断るのも自由だ」 「まずはお話をお伺い致します」 難しい頼みではなかった。相変わらずその風貌からは意外な程表情豊かに身振り手振りを交え、明日から自分は朝廷に居ないのだという惜別の念などすっかり消し飛んでしまう勢いで、私的なお願い事だと説明した。 「賢王は酔狂な事を考えますね」 ほんの一瞬だけ王の表情が曇ったがすぐに消え、もとの優しい微笑みに戻る。 「そなたに隠し事はせぬ」 「出来ませんでしたね」 王の目がそっぽを向いて少し泳ぐ。 「お前は隠し事ばかりだ」 「申し訳在りません」 新しい村の話を興味深そうに尋ねるのに答え、やがて刻限が来て御前を辞した。 戴く王が玉座に在る。それだけで天災や疫病がなくなり大地の恵みは増す。やがて人々の暮らしは豊かになり街は栄え国を支え畢竟、人々の暮らしを守る。 「民ありき」 連綿と続く人々の営みは成長し繁栄し人の寿命の尺度で変遷し続ける。雲海の上に長く生き過ぎると忘れてしまう分かったつもりで剥離してしまう。 「どう在りたいのだ?」 「まだ見えません」 草をむしり畝を立てる。日が傾いて今日の作業は無事に終わる。人々はみな、それぞれの場所に立ち遥か凌雲山の頂きに住まう王へと感謝を捧げた。この農夫達は王の姿も声も知らない。 「主上」 歴史を紐解き王朝の盛衰を目の当たりにした。永遠の王朝はない。だが民にとって永遠など何になるだろう。では官吏には?王朝には?王には? 「答えが出来るまでは田圃や生活の様子を教えてくれ」 白い握り飯と茶の話を王はどんな顔で読むだろうか。 ---- なんか、モノログってるなぁ。すみません、朝廷や役所とは何の関係も無い民間人の話を書こうとして滑ったんです。この主人公、達王の元冢宰とか地官長だったらどうしよう。しかもこの感じだとまた1から官吏を目指しそうな気がします。何処行く私の筆迷走中って感じ。。。orz