−にゃおんの休日遊筆−
十二国記〜2次作文と2次絵

 お題作成して脳を鍛えよう初稿公開日August/24/2006 最新更新日August/24/2006

コンテンツのはじめに・・・
十二国記シリーズは講談社より発刊されている作家/小野不由美氏による一連の作品群です。
*個人サイト『にゃおんの休日』に於ける当コンテンツは管理人個人が私見/私文を連ねている非公認のファンコンテンツです。
*<<警告>>以下は原作からは異なり、管理人の推測・想像で描かれた2次作場面です。

 十二国お題 手慣らし編 


− 回廊にて −


ほっそりと小柄で青い衣がよく似合う華奢な姿。よく澄んだ鈴の音のような声。
くるくると表情を映す瞳が印象的で可憐な10代の少女。

「研磨方法を改良していたのは進んでいるか?」
「は、はいっ。ご覧下さい」
突然背後から声を掛けられた工匠は一瞬にして表情を引き締め、次に活き活きと笑みを浮かべた。
冬官府の管轄する全ての工匠がその小さな脳漿に漏らさず明記されているのではないか?
交わされる会話に触発され頬を紅潮させる工匠達。
にっこり満足そうに微笑みを返すと裾を翻して颯爽と次の場所へ向かう。

「お、魔法お婆」
「英章だね、失敬な!」
回廊の途中横合いから投げ掛けられた暴言に、すかさずキッと声の主を振り返って見据える。
「大事な書翰だろ?投げるなよ?」
ふふんっとばかりに目の前に現れたのは、やはり英章。甲冑も着けず略装に剣を佩いただけの身軽な出で立ち。
「あんたごときに投げ付けやしないよ勿体ない。だが毎度聞き捨てならないね、あたしゃ女性だよ?
 『おババ』なんて言われたら世の女性誰しもいい気はしないね」
こちら、ふんっと軽く腕を組み、ははんっと細い顎をしゃくって目の端で将軍をあしらっている。
「齢数百歳とも噂される冬官長殿に今更小娘のようなトキメキなどあるのですか?」
妙にかしこまって大変失礼な言葉を重ねて来る。
「英章。あたしに何か売りたいものがありそうに聞こえてならないが、
 これはあんたの何時もの親睦を深める行動なのだろう。あたしは寛大だからね」
ふっと目を伏せながら小さな背を少し反らせて立つ様子は、あまりにも嵌り過ぎて確かに
見掛け通りの10代とは思えない風格が漂っている。
「ほらね?『可憐な18歳』の看板はとうてい揚げられそうにないよ?その貫禄」
ぴきき。
「禁軍の調練はしなくていいのかい!将軍が先頭切って油売ってるようじゃ示しがつかないだろう?」
厳しい声とともに持っていた書翰を英章の眉間にはっしと指し当てる。
「我が軍は自主性に優れているから心配には及ばないな」
英章は事も無げにサラリと応える。
「余裕があるんだね。では次の城塞改修はあんたの軍に出てもらう事にするよ」
「詳細は文書の到着後でいいね」
「用件は?」
「戴国冬官府自慢の呪の道、正頼が是非台輔にお見せしたいなどと珍しく俺の前でウキウキしていたぞ」
「はぁん、そういう事かい。あんまりオモチャにするんじゃないよ?」
琅燦は何やら納得して1つ頷くと書翰を小脇に抱え直した。
「呪の道をか?それとも台輔をか?」
「言うまでもないな」
「俺は血も涙も無いから手加減するつもりはないが」
「しっかり鍛えるんだね」
「何を?」
「わざわざあたしに訊く事かね?」
「言うまでもない、な」
じゃっと二人同時にあっけなく会話を終え、それぞれの行き先へ歩み始めた。


「ふん、お婆の奴、計ってやがるな。相変わらず恐ろしい洞察力だ」
「ふふ、若将軍は腹黒い策士の風体を隠す気もないか。悪くない若さだねぇ」


「お婆ですぢゃ」
「!」
がさっと回廊から駆け降り、手にした書翰で斬り上げるように木蔭に踏み込んだが誰も居ない。
「クソ爺、ずっと聞いていたんだね?お守しなくて何処ほっついてるんだい!」
宙に向かって吐いた言葉に人の良い爺様らしい笑い声が返った気がした。




冬官長執務室。夜更け。
「孫は可愛いですからのぅ」
爺様言葉の後に、はふぅっと一息ついてずずぅっと茶をすする音が続く。
「どっちの孫だい?台輔?それとも英章?」
紙をめくる音。
「どっちもですぢゃ。まぁ琅燦殿にとってはワシも孫みたいなものですかな」
「そういう事になるが、孫ねぇ。どうにも似つかわしくない」
ぱらり。
「白圭宮みんな孫ですな? うーん。いや、生徒ですな」
「うん、そう言った方がしっくり来るね」
ぱらり。
「ほんに琅燦殿は小憎らしい先生役を買って出て朝を支えておられる」
「気にした事も無いよ。
 あたしは此処に居て毎日新しい技術を探して創り出す、楽しい事は止められないね」
ことり、と湯飲みを置く音が響く。
穏やかなしわの刻まれた表情の向こうから正頼が真っ直ぐに視線を向けて来る。
「今度の生徒はどんなですかな?」
「ふふふ、そうだねぇ。悪くないよ?」
ぱらり。正頼は満足そうに微笑み、琅燦の手は規則正しく紙をめくり続けた。




----
妄想設定ON。
重臣中最年長の琅燦、最年少の英章。見掛け年齢は最も近いといいな。
見掛け爺様の正頼、見掛け少女の琅燦。実年齢は最も近いといいな。

 |
(C) にゃおん 2006 (禁無断転載)

TOP
SITE MAP
にゃおんの休日掲示板