コンテンツのはじめに・・・ 十二国記シリーズは講談社より発刊されている作家/小野不由美氏による一連の作品群です。 *個人サイト『にゃおんの休日』に於ける当コンテンツは管理人個人が私見/私文を連ねている非公認のファンコンテンツです。 *<<警告>>以下は原作からは異なり、管理人の推測・想像で描かれた2次作場面です。
■■■ 十二国お題 手慣らし編 ■■■
− 朝堂にて − 「うっ」 「うぉ」 「をぉ」 「こ、」 「(ごくり)」 天井が高いこの堂室は隅々まで全体の音をよく拾い、よく響く。 定刻。いつもと変わらぬ朝の、はずだった。 堂室中から同僚達の驚きが控え目に、しかしどよめきとなって肌に伝わる。 「どうした冢宰。始めぬか」 玉座から声が掛かる。 「は、はい。かしこまりまして」 一礼して改めて号令を発する。 「それでは本日の朝議を始めます。まずは」 言葉を予定通り音声にするが頭の中は他の問題が、緊急の問題がぐるぐる巡る。 何が起こっているのだ、昨晩の内に何があったのだ、昨日はいつも通りだった、って言うかアレ主上だよな、いやソレは間違いないよな、でも全然別人だし、いやしかし何処からいつの間に、って問題はコレであって何だっけ、じゃなくて後宮どうしよう、って違う違う天官長は知ってたのかって奴も顔色変だし? 「冢宰」 「は、はい」 玉座から改めて名指しを受け背筋を伸ばす。我ながら上出来だと思う。 「他に言う事はないか」 にこりと微笑まれる。 「あ、本日は格別に趣き良く合わせておられますね」 「そうであろ?」 極上の笑みがパラリと開かれた扇で控え目に覆い隠される。 この、昨夜まで確かに十二国で延王に次ぐ剣客よと誉れ高くすらりと凛々しくも麗しい青年王だった御方。今、目の前には重ねの衣の透かし具合からも気品を感じさせる楚々とした背の高い貴婦人が瀟洒な装飾品も趣味良く選び僅かな立ち居振る舞いにも透明な響きを醸しつつ、そこに居る。王に従う氾麟は当たり前のように傍でいたずらな笑みを見せているし主上? 「さすがは我が王朝の要、たのんだぞよ」 ですからソレをでございましょうか主上? 「我が国は匠の国。朝にゆとりも生まれた故、匠の国を顕現する私は更に美しく在るのがよかろう」 「御意」 その美と政の精神にいつもより長く深く一礼するより他なかった。 ---- 氾王呉藍滌、大好き。見掛けの特異さが強調されがちですが彼はカッコイイと感じます。