コンテンツのはじめに・・・ 十二国記シリーズは講談社より発刊されている作家/小野不由美氏による一連の作品群です。 *個人サイト『にゃおんの休日』に於ける当コンテンツは管理人個人が私見/私文を連ねている非公認のファンコンテンツです。 *<<警告>>以下は原作からは異なり、管理人の推測・想像で描かれた2次作場面です。
■■■ 十二国お題 手慣らし編 ■■■
− 空を駆ける獣と − 「これで全部集まったかな。よっこいしょ」 ふわぁっと忽ち身体が浮き上がり、街は遥か足下に小さくなる。空は青く晴れ渡り風は心地よく頬を撫で絶好の飛行日和だ。 今でこそ楽々と空を飛んでいるが。 「うわぁああぁあぁ」 「手綱を強く引き過ぎなんだよ、楽俊」 金の髪をきらきらさせながら延麒が並走して来た。延麒を乗せているのはふさふさの三本尻尾を持つ大きな狼のような使令、悧角。 「たまなら少し慣れれば眠ってても勝手に飛んでくれるんだけどな」 「お、おいら騎獣も馬も関弓に来た時が初めてだから、うわぁあああっ」 突然ぎゅんっと上昇を始める『たま』にしがみついた。 「でもなんでネズミの姿のままなんだ?」 楽々と追い付いて来た延麒が素直に質問した。 再び延麒の乗る悧角と並走し始めた『たま』の背中で身体を起こした楽俊が小さな手で口ひげをぽよよんっと弾く。 「そう言えばなんでかな?」 「ま、いいんじゃねーの?たまも楽しそうだしな」 「って言うか、おいら大学生なのになんで範から帰る途中なんだろ」 「楽俊」 「え、延王様」 「あの野郎に会ったのだろう?」 どうだったと言わんばかりの意味深な笑みで背後から並走して来た。延王延麒の乗るもう1頭のすう虞『とら』が今日のお忍びの供をしている。2頭の長い尻尾がふるんと波打った。 「ええ、朱衡様の書簡がありましたので」 「お?意外だな」 「なんですか?」 「いや、あの野郎に初めて会ったにしては平然としているからな」 「・・・あ、いや、驚きましたよ?」 「ま、それ以上は言わなくて良いぞ」 「助かります」 はふぅっと心底安心した溜息を吐ききって背を丸めた。 「さて、俺とは会わなかった事にしてくれ。じゃ後でな、楽俊」 「え?延王?」 一気に高度を上げたとらのお腹が遠ざかる。長い尻尾がふるるんっと振られるのがかろうじて見え、たまがくぉんっと応えた。 ---- 「獣=すう虞」のつもりで書いてます。・・・読み返すと獣だらけ。